16年分の新聞書評が一冊に!本好き必見の『書評大全』

2015年04月14日

こんにちは。スタッフ押川であります。

毎週日曜日、宮崎日日新聞に掲載されている書評ページを、欠かさずチェックしているという方も少なからずおられることと存じます。かく申すわたくしも商売柄で、というよりは本好きの端くれとして、「お、気になっていたこの本を取り上げてるじゃないの」とか、「あれま、この本のことは知らんかったなあ。なんか面白そうじゃのう、コレ」などとつぶやきつつ、毎週楽しみにチェックしていたりしております。
文学から芸術、歴史、科学、政治、経済、社会問題等々にわたる幅広いジャンルの本を取り上げる書評を、宮日を含めた全国の地方紙に向けて配信しているのが、ニュース通信社として有名な共同通信社の文化部です。
共同通信が署名入りの書評を配信し始めたのが、1998年の3月末のこと。それから2014年までの16年にわたる書評を一冊に集大成したのが、先月(3月)末に刊行された、その名も『書評大全』(共同通信文化部編、三省堂)であります。
約1600人の評者によって紹介された、約5000点もの本の書評全文を掲載、2545ページという堂々たるボリュームで迫る、「空前の "書評から見る文化史大事典!"」という触れ込みの本書。刊行されることを知って以来、いささか興奮気味に「これはぜひとも手元に置きたい!!」などと思っておりました。
しかし、これだけのスゴいボリュームの事典だから値段もさぞかしスゴいんだろうなあ、と値段を確かめると•••

本体価格16500円!

ああ、やっぱり。けっこうな値段なのであります。
でも、これはやはり手元に置いておきたい•••だけどちょっとこの値段では•••いいや、なにがなんでもこれは買いだぞ!•••うう、でもやっぱり値段が•••。
あーだこーだと三日三晩寝ずに思案した(ごめんなさい。ウソです)結果•••

image0001.jpg

はい、やっぱり買っちゃいました!
購入してからこのかた、書棚の中で燦然と輝く本書を目にしては「うふふ♡」とニタつき、ときおり取り出して拾い読みしては「うほほほ♪」と喜びにひたる毎日を送っております(←アホか)。

何より嬉しいのは、巻末の索引の充実ぶり。「書名」はもちろん、「著者・編者」「訳者・監訳者」「写真家ほか」「評者」「出版社」そして「キーワード」と7つもあって、これらのデータを組み合わせれば活用の幅も広がり、いろいろと楽しめるのではないかと思います。「キーワード」索引も、かなり細かいコトバまで押さえられているので、けっこう使えそうです。
わたくし、ひとまず「書名」索引をずっと辿りながら、気になった本の書評を拾い読みなんぞしたりしているのですが、「ああ、そういえばこの書評を読んで、この本を買うことにしたんだよなあ」なんて思い起こしたりして、ついつい時間を忘れそうになってしまいますね。
「書名」索引を辿ることによって、さまざまに工夫を凝らした巧みな書名の妙を味わうこともできるわけですが、中にはなんだか笑えるような書名もあったりするのもお楽しみだったりいたします。『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』とか『ぼくらはみんなハゲている』とか『本は読めないものだから心配するな』とか(笑)。
評者は、評論家や大学の先生、作家といったあたりが常連さんだったりいたしますが、中にはサンプラザ中野くんや、みうらじゅんさん、山下洋輔さんといった、ちょっと異色の顔ぶれも。そういった、評者と取り上げられている本との組み合わせの妙も楽しめそうですね。

昨今は、インターネットにも質のいい書評サイトやブログがいろいろとあります。わたくし、それらからも大いに選書のヒントを得ていたりしています。
そんな中にあっても、誰もが簡単にアクセスできる新聞の紙面で、いま話題になっている本の動向や、地味ではあっても注目しておきたい本のことを、しっかりとした言葉による書評で知ることができるというのは、まだまだ意義深いものがあるように思います。
新聞書評にはまだまだ、しっかりとした役割がある。そんなことを、ずっしりとした重みとともに実感できる一冊であります。本にかかわっておられる皆さま、本好きの皆さま、どうぞお手元に。

本書の中身をお知りになりたい、一度見てみたいという皆さま、当店にも本書の備えつけがございます。どうぞご遠慮なくお問い合わせくださいませ。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

震災の日に生まれた尊い命に、祝福を。『あの日 生まれた命』

2015年03月15日

こんにちは。スタッフ押川であります。

先週の11日で、東日本大震災の発生から4年。2万人を超える尊い命が失われたことの重みを、あらためて噛み締めた向きも多かったことでしょう。
多くの尊い命が失われた一方で、この日に生を受けた子どもたちもいました。震災の被害がとりわけ大きかった岩手・宮城・福島の3県でも、110人以上の子どもたちが生まれていました。
困難な状況の中で生まれた小さな命と、それをしっかり守り抜いた親御さんたちを見つめた、昨年の3月11日放送のNHKスペシャルを書籍化したルポルタージュが、『あの日 生まれた命』(NHKスペシャル「あの日 生まれた命」取材班編、ポプラ社、1620円)です。
image.jpg
津波に飲まれた病院に閉じ込められ、生まれたばかりの我が子とともに寒さに凍えた母親。震災でおばあちゃんを亡くしてしまったことで、同じ日である息子の誕生日を、生まれた日に祝うことができないでいる母親。出産に立ち会うために離れていた職場の特別養護老人ホームが津波に襲われ、多くのお年寄りが亡くなったことから罪悪感に苦しんでいる父親。震災後、娘と父親を襲った命の危機を乗り越えた一家•••。
困難な状況の中でも、健気に、懸命に育ってきた子どもたちと、運命の重さに苦しみ、葛藤しながらも、その子たちを守り、時には我が子の存在に救われたりもしたという親御さんたちのエピソードの一つ一つが、深く胸を突いてきました。
本書に登場した親御さんが語っていた言葉で、とりわけ印象に残ったものがあります。同様の言葉は、複数の親御さんからも発せられていました。

「私がこの子を産んだんだから、一生、守っていくという気持ちになりました。私が一番、この子を守る、守り抜くって自分の心に刻み込みました」

親になるということ自体、とても大きな決意と覚悟が伴うことでしょうし、子どもを守りたいという思いも、子を持つ親であれば誰もが抱く思いでしょう。ですが、未曾有の震災という苦難のもとで命を授かったことで、我が子を守り抜くという決意と覚悟は、より一層大きく強いものとなったのでしょう。そのことに、胸を打たれました。

生まれたばかりの子どもとその家族に、惜しみない支援を行った方々の存在にも、胸を打つものがありました。自ら被災しながらも、「母親がご飯を食べなければ、赤ちゃんにもおっぱいがいかないし、なんとかして食べさせてあげたい」との一心でおにぎりを握り、水に浸かりながら勤務する病院に届けたという女性の話には、目頭が熱くなりました。

本書に登場した親御さんたちの多くが、共通して語っていたことがありました。一つは、多くの人たちからの支援があったことを忘れずに、人の痛みがわかる優しい子に育って欲しい、という願い。そして、命があって幸せな生活とは、決して当たり前のことではないのだ、という思いです。
被災した地域の復興には、まだまだ時間がかかることでしょうし、震災の悲しみや辛さが消えてなくなることもないことでしょう。
失われた数多くの命を悼みながらも、困難な状況の中で生まれてきた尊い命に惜しみない祝福を捧げたいと、本書を読みながら思いました。どうかご家族ともども、これからの人生が幸せに満ちたものとなってほしいと、心から願います。
そして、あの日生まれた子どもたちが、被災した地域の復興とともに歩んでいけるよう関心を持ち続け、自分たちにできる支援を微力ながらやっていかなければ、と思いを新たにいたしました。

ルポルタージュ版『あの日 生まれた命』と同時刊行された『あの日 生まれた命 48人の子どもたちと家族からの手紙』(同上、1296円)は、ルポルタージュ版に登場した方々をはじめとする、被災地で生まれた子どもたちの親御さんから寄せられた手記を集めたものです。こちらは、これからじっくり読みたいと思います。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

『オヤジ国憲法でいこう!』

2015年03月07日

こんにちは。

スタッフ隆太です。

今日は本のオススメです。NHKラジオ『すっぴん』で高橋源一郎さんがお話になっていて

気になっていたのですが、やっぱり放送後すぐ品切れとなっていたので入手できませんでした。

今回やっと注文でき、全文読むことができました!

これです→51KF5XPD44L._SY344_BO1,204,203,200_.jpg

私は幸いオヤジなので、友達の事で悩むなど、ヤングの悩みとは無縁になりましたが、むしろ大人が読んで面白い本だなあと思います。しりあがりさんと祖父江さんの軽快な文が何故かとても説得力を持っていて、私も「オヤジになって良かったあ〜」と実感しました。

友人のことで悩んでいるヤングな方も、「若いってダメじゃん」と言いたいオヤジも是非ご一読を!

『増補 オヤジ国憲法でいこう』しりあがり寿・祖父江慎 著(イースト・プレス)

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

甘〜い味に秘められた歴史と社会のありようがわかる『チョコレートの世界史』

2015年02月11日

こんにちは。スタッフ押川です。
いよいよ今週末ですねえ、バレンタインデー。当日は多くの女性の皆さまと男性諸氏にとって、幸せな1日となることを願うばかりであります。
•••え、そういうお前さんはどうなんだ?ですと。あ、わたくしのことは一切気にしないでいだだいて構いません。わたくしはわたくしで、一人で強く生きていきますので。ま、万が一来るものがあるのなら拒みゃしませんけれども。
わたくしのことはともかく、今回はこの時期に興味深く読める一冊、『チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』(武田尚子著、中公新書)をご紹介したいと思います。
image.jpg7
チョコレートはどのように生み出され、普及していったのか。本書は近代ヨーロッパの歴史を軸にして述べていきます。
チョコレートの原料であるカカオ豆の歴史は古く、既に紀元前には利用が始まっていたといいます。中米のマヤ・アステカ文明においては、神々へ捧げられる供物であり、貨幣でもあり、薬用として特権階級に飲まれていたというカカオ。やがて、アステカ文明を滅ぼして植民地化したスペイン人によって、砂糖で甘みをつけられたカカオ飲料は多くの人々に受け入れられ、「チョコレート」という言葉が生み出されます。
その後、中米やアフリカ、アジアに植民地を獲得したヨーロッパ諸国は、プランテーションにより栽培したカカオ豆と砂糖の販路を広げ、世界商品として展開していきます。そして、機械設備や輸送手段の近代化で大量生産が可能となり、固形化もされたチョコレートは、庶民にも手の届くものとなっていったのです。
神々への捧げものから、グローバルな世界商品へと変わっていったチョコレートの歴史には、世界史の大きな流れが凝縮されていることが、本書を読むとよくわかります。

わたくしが特に興味深かったのは後半、日本でもお馴染みの「キットカット」を生み出した、イギリスのロウントリー社(現在はネスレ社)をめぐる記述でした。
菓子製造業としてはいち早く、大規模なマーケット・リサーチを行ったり、テレビCMを始めたりしたロウントリー社。ビジネスのみならず社会改良にも熱心だったそうで、工場のあったヨーク市の労働者階級1万1560世帯を個別訪問して生活状態を調査、その結果を研究書として出版したとか。また、週休二日制や女性従業員への教育プログラム、産業心理学の導入などといった従業員の待遇改善にも取り組んだそうな。いろんな意味で先駆的な企業だったんだなあ、と驚きました。
主力商品のキットカットの歴史も興味を惹かれました。チョコにくるまれた層状のウエハースや、割りやすくするための「みぞ」についてのエピソードも面白かったのですが、第二次大戦下で原料の調達もままならない中、「平和な時代」のような商品が作れないことへの苦渋がにじむ、ラッピングに記された文面には胸打たれるものがありました。そう、平和であるからこそ、チョコレートを美味しく頂くことができるんですよねえ。

本書を読めば、チョコレートの甘さを、より深〜く味わうことができること間違いなしです。チョコをたんまり貰える向きはもちろん、貰えない向きにも大いにオススメしたい好著であります。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

酒好き女子(および男子)必読の漫画『ワカコ酒』

2015年02月05日

皆さま、こんにちは。スタッフブログ初回の記事以来、すっかりご無沙汰しておりました、スタッフ(お)こと押川です。初回の記事では遠慮して名前を明記しなかったわけですが、他のスタッフからの「別に隠しておくような大したシロモノでもないだろ」との指摘を受け、あらためて本名で登場させていただくことになりました。
その初回の記事にて「さまざまな情報をこまめにアップして•••」などと申しておりましたが、その後はこまめに記事をアップすることのないまま、ずいぶんと間が空いてしまい誠に恐縮至極であります。これからは初心に戻って、積極的な発信を心がけていく所存です。あらためて、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて。わたくしが酒好きであることをよーくわかっている我が同僚の一人から、「これ、けっこう面白いですよ」と一冊の漫画をオススメしていただきました。それがこちらの『ワカコ酒』(新久千映著、徳間書店)です。
image.jpg4
ふだん漫画はほとんど読まないわたくし、この漫画のことは全く存じませんでした。ちょっと試しに読んでみるか、とさっそく買って帰って読んでみました。主人公は、酒場での一人飲みが大好きというOL・ワカコ。近ごろは女性にも、居酒屋での一人飲みを楽しむ方が増えてきているようですが、漫画にもそういう女性が主人公という作品が出てるのかー、と興味津々で読み始めました。
読んでみるとたちまち、その楽しさにハマりました。鮭の塩焼きや焼き餃子、ポテトサラダ、ハムカツ、ほっけ、かきあげ•••などなど、居酒屋でもよく見かけるような平凡といえば平凡な料理を肴に一人飲みする主人公を、短いページ数で(一回分は基本的に4〜6ページほど)まったり描く作風と、見ていてほっこりするような絵柄がなんだか絶妙で、それが酒場でのまったりほっこりした雰囲気をしっかりと醸し出しているのです。
何より惹きつけられるのが、主人公ワカコの酒と肴へのこだわり。「日本酒に鮭の皮はこたえられん」と言ったり、ポテトサラダの中のゆでたまごに幸福感を覚えたり、ハムカツはポークカツの代替品にあらず、と言ったり、などなど、ワカコのこだわり言葉の一つ一つに「そうそう、わかるわかる!」と大いに頷かされっぱなしでありました。おかげでちょっと痛いです、首が(笑)。
たちまちにして本作のファンとなってしまったわたくし、今日は続巻3冊をまとめ買いいたしました。これから少しずつ、読んでいこうと思っております。
酒好き女子はもちろん、呑み助男子にも大いにオススメしたい漫画、ぜひご一読を。

ちなみに。この作品のことをわたくしに教えてくれた同僚も、やはりお酒好きの女性スタッフであります。好きな分野にしっかりとアンテナを張っている姿勢、我が同僚ながらお見事!と思った次第でありました。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

月別アーカイブ

PAGE TOP