向田邦子さんの名エッセイを、2大人気作家が絵本化した『字のないはがき』

2019年06月23日

こんにちは。スタッフ押川であります。

テレビドラマの脚本、エッセイ、小説の各分野で優れた作品を送り続けた向田邦子さん。不慮の航空機事故により、まだ51歳という若さで世を去って40年近くになりますが、いまもその作品は多くの人に愛され続けています。
その向田さんの作品でも、とりわけ多くの人から愛されているのが、エッセイ集『眠る盃』(講談社文庫、640円+税)に収められている「字のない葉書」。国語の教科書にも取り上げられているこの名エッセイをもとに、角田光代さんが文を、西加奈子さんが絵を手がけ、小さな子どもたちにも読みやすいかたちで絵本化したのが『字のないはがき』(小学館、本体1500円+税)です。

24FDE49C-6351-4DA2-963F-E3EB6B7F17BA.jpeg

戦争が激しくなり、家族と離れて疎開することになった幼い妹。まだ字が書けなかった彼女に、お父さんはたくさんのはがきを渡して、元気な日には丸を書いて毎日ポストに入れるように言いつけ、送り出します。疎開へ行く日、妹はまるで遠足にでも行くように、嬉しそうに出発していったのですが・・・。

余計なものを排し、対象をクローズアップして描いた西さんの絵は、シンプルだけどとても豊かな味わいがあって、見る者の気持ちに響いてきます。小説家として高い人気を集めている西さんが、これほど味わいのある絵をお描きになるとは、と驚きでした(西さんは自著の装丁や挿画も手がけておられるということも、実はつい最近になって知りました。お恥ずかしい・・・)。
大の向田邦子ファンという角田さんも、向田さんの作品世界が子どもたちにも伝わるかたちで、うまくアレンジしているように思いました。向田さんのエッセイでもおなじみの、いつもは厳格で怖いお父さんが見せる家族愛が、深い感動を誘います。

2人の人気作家の手でよみがえった、家族の絆の物語。ぜひとも子どもたちにも読み継がれてほしい一冊です。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

「はらぺこあおむし」&「かこさとし」Tシャツで、暑い夏を楽しく快適に!

2019年06月02日

こんにちは。スタッフ押川であります。いきなりなのですが、こちらの画像をご覧くださいませ。

911BAE6B-B533-4BD7-A2CE-53EA39F735A8.jpeg
578E4E92-1EDE-4570-9A16-0C1D63F13B57.jpeg

「・・・え?なんでTシャツの画像を?」と思われた方も多いことでしょうが、実はこれも、当店で扱っている商品なのであります。
モチーフになっているのは、ロングセラーとなっているお馴染みの絵本『はらぺこあおむし』(エリック・カール作、偕成社)。グレーの布地に白い線で絵が入っていて、ちょっとオシャレな感じです。

536D2F44-84E0-41B1-9216-541F4E6C96E9.jpeg
86916F6E-1CDA-4580-A4AA-6745F8E0CA53.jpeg

そしてこちらは、やはりロングセラーとなっている『どろぼうがっこう』(かこさとし作、偕成社)をモチーフにしたTシャツです。こちらには、同作に登場する「くまさか とらえもん」校長がどどーんと描かれていてインパクト十分。背中側にぞろぞろと描かれている、どろぼうがっこうの生徒たちがまた、愛嬌たっぷりなのであります。

・・・ちなみに、モデルとなっているのは不肖わたくし、であります。せっかくのTシャツが台無しになるといけませんので、顔のほうはカットさせていただきましたが(笑)。
いずれも自分で買って着ているのですが、綿100パーセントということで着心地も快適。人一倍暑がりのわたしですが、おかげで蒸し暑い日中でもすごく快適に過ごすことができております。

かこさとしさんの作品をあしらったTシャツには、ほかにも『からすのパンやさん』バージョンがあるほか、『はらぺこあおむし』Tシャツにはグレーのほかに白とピンクもございます。もちろん、サイズは子ども向きから大人向きまで揃っております(お値段はいずれも2500円+税)。

EA7C655D-8006-4E16-9B3F-210F267F82D8.jpeg

今年の夏もまた、蒸し暑くなりそうです。「あおむし」&「かこさとし」Tシャツで、快適で楽しい夏をお過ごしになっていただけたら、と思います。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

祝50年!絵本雑誌『かがくのとも』の魅力を凝縮した『かがくのとものもと』

2019年05月17日

こんにちは。スタッフ押川であります。もうずいぶん長いこと、このスタッフブログの更新を怠っておりまして、まことに恐縮なことであります。
わが社の使っているシステムがなんだか使いにくくってついつい更新が疎かに・・・って、ここでのっけからグチっていても仕方ありませんね(笑)。とにかく、これからまた気持ちを入れ替えて、いろいろな情報をマメに発信していきたいと思っております。あらためて、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さてさて。福音館書店が出している絵本雑誌のひとつに『かがくのとも』があります。さまざまな分野の科学が見せてくれるオドロキを、小さな子どもたちにもわかりやすく、そして楽しく伝えている科学絵本雑誌であります。
その『かがくのとも』が、創刊から50年という節目を迎えたのを記念して、50年の歴史を集大成した一冊『かがくのとものもと』(本体価格2500円+税)が刊行されました。これまで刊行された『かがくのとも』を代表する名作の数々が、オールカラーの図版とともに紹介されています。

43CB0BE6-B07D-45AD-A309-898DCCE0997C.jpeg

動物たちの「うんち」から見た生物の物質代謝のしくみ。子どもたちが生活の中で感じる「気持ち」のこと。パズルのような絵でわかる、数や形の不思議。アリの視点から見るオドロキの世界。おばあちゃんの干し柿から見えてくる、太陽の大きな力。工作や実験、遊びを通して知る科学の面白さ・・・などなど。『かがくのとも』が、いかに多様な切り口で科学のオドロキと面白さを伝えてきたのかがよくわかり、大人の好奇心も大いに刺激してくれます。
巻末には、創刊号から2019年3月号までの全600冊(プラス増刊号1冊)が、表紙写真と簡単な内容紹介とともにズラリと勢揃いしておりますので、資料としても大いに重宝しそうであります。

これまで『かがくのとも』を支えてきた主力作家さんによる「折込の言葉」も、いくつか再録されています。その中のお一人で、昨年逝去された加古里子さんは、こうおっしゃっています。

「科学絵本や科学読物の存在意義は、私たちが真に幸福で豊かな生活を守るためには、まだまだかしこさが不足で、それには学校や家庭や社会から学び教えられることと共に、子ども自身が本を通じて自主的にかしこく育って欲しいとの立場にほかなりません」

そうなんですよね。小さい頃から科学に親しんでおくことは、これからもずっと、幸福で豊かな生活を送るためにも大切ですよね。『かがくのとものもと』は、子どもとともに科学のオドロキと楽しさに触れることの大切さを再認識させてくれます。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

『ひとりで えほん かいました』子どもたちが素敵な本と本屋さんに巡り会えますように・・・

2017年12月24日

こんにちは。スタッフ押川であります。

お誕生日に、手作りの「ひとりで おかいもの けん」をプレゼントしてもらったかおりちゃんは、それを持ってはじめて一人で絵本を買おうと本屋さんに行きます。
店内で迷子になっていた近所の男の子を助け、その子のお母さんを見つけ出したかおりちゃんでしたが、急におしっこがしたくなったり、今度は自分が迷子になってしまったり。かおりちゃんは無事に、お気に入りの絵本を見つけ出して買うことができるのでしょうか・・・?
本書『ひとりで えほん かいました』(くすのき しげのり作、ゆーち みえこ絵、アリス館)は、一人ではじめて絵本を買おうとする女の子と、それをとりまく人たちを描いた絵本です。

おしっこがしたくなった主人公に気づき、トイレに連れて行ってくれる女子高生。どの絵本にしようかと迷う主人公をサポートしてくれる店員さん・・・。本屋さんの空間とそこに集う人びとは、一人ではじめて買い物にやってきた女の子を優しく包み込んでくれます。ゆーち みえこさんによる温かみのあるタッチの絵は、そんな本屋さんの店内風景を魅力的に描いています。
主人公が本屋さんに並んだ本を見ながら、恐竜の背に乗ってお散歩することなどを夢想する場面も、なんだかいいなあと思いました。いろいろな本が並ぶ本屋さんの店内は、想像力を掻き立てる空間でもあるということを、あらためて思い起こさせてくれました。
そうそう、本屋さんの店内を描いた場面では、ちょっと嬉しくなるような趣向も盛り込まれていますので、ご覧になるときにはどうか細部まで、しっかりとご覧いただけたら、と思います。

作者であるくすのき しげのりさんは、巻末の「作者のことば」で、次のように記しておられます。

「私は、子どもが本を読むということに、限りない希望を感じます。
そして、本が好きな子に育ってほしいと願います。
なによりも、私の中に、『町の本屋さん』への安心感と信頼感があるからです」

ネット書店の成長や、出版・書店業界の制度疲労など、さまざまな要因が絡み合う中で、いわゆる「町の本屋さん」が急速にその数を減らしている昨今。本書における本屋さんの描き方には、いくぶん理想化されたところもあるように感じられます。
でも、想像力と創造力、そして夢を育む場所であり、地域の人びとが集い、交流できる場所でもある町の本屋さんの空間は、一人でやってくる子どもが安心できるのはもちろん、大人にとっても居心地のいい、地域にとって大切な「サードプレイス」であることは確かなのではないかと、わたしは思います。

この絵本の主人公、かおりちゃんのように、子どもたちみんなが素敵な本と本屋さんに巡り会えることを、願ってやみません。

Posted from スタッフ押川

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

子ども以上にオトナがハマる?ふしぎ探究雑誌『月刊たくさんのふしぎ』

2017年11月17日

こんにちは。スタッフ押川であります。

『こどものとも』シリーズや『かがくのとも』など、福音館書店が発行している月刊絵本雑誌の中でも、とりわけ異彩を放つ存在といえそうなのが『月刊たくさんのふしぎ』でしょう。
「自然や環境、人間の生活・歴史・文化から、数学・哲学まで。あらゆるふしぎを小学生向きにお届けする科学雑誌」(版元サイトの紹介文より)という触れ込みの『たくさんのふしぎ』。小学生向きと謳ってはいるものの、しばしば「これは子ども以上にオトナのほうが面白く思えるんじゃね?」というようなテーマを扱ったりしていて、なかなか油断がならないのです。
今月発売された12月号「昭和十年の女の子 大阪のまちで」(牧野夏子・文、鴨居杏・絵)もまた、子ども以上にオトナが楽しめそうな内容の一冊であります。

大阪の小学4年の女の子・モモちゃんが、ひいおばあちゃんのスミ子さんから古いアルバムを見せてもらいます。モモちゃんと同じ10歳だった頃のスミ子さんとその家族を写した写真は、どれも白黒。でも、スミ子さんが語る昭和十年の大阪のまちには、華やかな色が溢れていたのです・・・。
本作「昭和十年の女の子」は、スミ子さんの思い出ばなしという形を借りながら、昭和初期に大阪で花開いていた華やかな戦前のモダン都市文化を、当時を物語る豊富な写真とともに再現していきます。

大阪で地下鉄が初めて開通したのが昭和8年。梅田と心斎橋を5分で結んだという「高速地下鉄」のことが、今も保存されている当時の車両や、絵はがきなどの写真で紹介されています。景品としてつくられたという紙製のメリーゴーラウンドは、地上の街と地下鉄、さらには空を飛ぶ飛行機が立体的に表現されていて、なかなか楽しそうです。
その地下鉄の駅から地下通路で繋がっていたのが、心斎橋の大丸デパート。大丸が出していたおもちゃの新聞広告や、年末年始用の品物や催し物を列挙した商品カタログからは、生活を楽しむことを覚えはじめたのであろう、当時の人びとのウキウキ感が伝わってくるかのようです。

昭和初期の子どもたちを楽しませた娯楽の筆頭だったのが、映画。本作には、当時人気子役だったシャーリー・テンプルの主演作や、「ポパイ」や「ベティ・ブープ」といったアニメ映画(いや、ここはやはり「漫画映画」と呼んでおきましょう)、さらには特撮怪獣映画の古典『キング・コング』といった作品の広告が載せられています。
雑誌文化も花盛りでした。女の子向けの『少女の友』に付いていた、ケース入り栞セットや花のカードゲームは、カラー印刷がまことに美しくて惹かれるものがありました。また、小学館の学習雑誌『小学◯年生』も、すでにこの時代には出ておりました。

そして、子どもたちの舌を満足させていたお菓子の数々。そこには、「明治ミルクチョコレート」や「グリコ」「森永ミルクキャラメル」、そして鹿児島生まれの「ボンタンアメ」といった、現在でもおなじみのお菓子がいろいろと見受けられて、その息の長さにしみじみ感慨を覚えます。
豊富に織り込まれた資料写真の数々もさることながら、鴨居杏さんによる淡い色彩の絵もまた、昭和初期の雰囲気に良く合っていていい感じでありました。

モダン都市文化といえば、東京の銀座あたりがすぐに思い浮かぶのですが、大阪にも実に豊かで華やかな都市文化がしっかりと存在していたということを、本作で知ることができました。
それから数年後には戦争の時代となり、華やかなモダン都市文化も「ぜいたくは敵だ」や「欲しがりません勝つまでは」といったスローガンとともに影を潜め、途切れてしまうこととなります。そう考えると、豊かで華やかな都市文化を楽しむことができる、平和な時代のありがたさも、本作を読んで感じることができました。

子どものみならず、オトナの好奇心もそそってくれる『月刊たくさんのふしぎ』。まだ読んだことがないという皆さま、ぜひ一度、お手にとってみてくださいませ。

Posted from スタッフ押川

岩切書店(宮崎こどものとも社)

本のことなら岩切書店、えほんのことなら"こどものとも社"。
絵本、児童書、書籍、おもちゃの販売、園庭環境・遊具のご提案をしております。

〒880-0912
宮崎市大字赤江字飛江田942-10

●公式ウェブサイト:https://iwakiri-shoten.com/
●電話:0985-52-5700

コメント(0)

月別アーカイブ

PAGE TOP