「生賴範義展III THE LAST ODYSSEY」堪能してきました!

2016年12月16日

こんにちは、スタッフ押川であります。今回は本の紹介というわけではないので、いささか恐縮ではございますが・・・。

宮崎市中心部にあるみやざきアートセンターにて今月3日から始まった「生賴範義展III THE LAST ODYSSEY」、先日11日に観覧してきました。
宮崎市のアトリエから『スター・ウォーズ』や平成ゴジラシリーズなどの映画ポスターアートや、書籍や雑誌のイラストなどの膨大な作品を世に送り出し続け、昨年逝去された生賴さんの画業を振り返る展覧会の完結編です。今回は1985年以降の円熟期の作品群に加え、平井和正さんや小松左京さんの作品を飾ったイラスト集、新たに発掘された過去の作品群、さらには今回初めて公開された「未完の油彩画」まで。質量ともに幅広く素晴らしい作品群、存分に堪能してきました。
ご紹介や感想を書き出すと長くなりそうですので、それはわたしの個人ブログのほうでたっぷりとやることにして(笑)、ここではごく一部についてだけ、かいつまんでお話することにいたします。

今回展示されている作品の大部分を占めているのが、さまざまな書籍や雑誌のために描かれたイラストです。
スピルバーグによる映画版も大ヒットした、マイクル・クライトンの『ジュラシック・パーク』単行本版の表紙イラストは、大きく描かれたティラノサウルスとトリケラトプスの下に、走り回るラプトルたちが。フルCGで描かれた映画の恐竜たちも迫力がありましたが、細部まで緻密に描き込まれた生賴さんの恐竜たちも、引けをとらない迫力を感じます。

そしてやはり圧巻だったのが、生賴さんと深い信頼関係を築いていた、日本が誇る2大SF作家、小松左京さんと平井和正さんの著作を飾ったイラストの数々でした。かつて角川文庫から出ていた小松さんの著作や、平井さんの『幻魔大戦』シリーズの表紙イラストを、懐かしく覚えておられる方も多いことでしょう。

SF的想像力と深い芸術性とが融合したイラストは、生賴さんご自身の声価を高めたのみならず、小松さんや平井さんの著作が認知され、広まる上でも、大きく役立ったのではないかと思います。

SFのみならず、ジャック・ヒギンズなどの冒険小説や、清水一行さんの経済小説、歴史上の人物を扱った出版物などなど、多岐にわたるジャンルで質の高いお仕事をなさってきた生賴さんの凄さと素晴らしさを、全身で受け取ることができました。

新たに発掘された多数の原画を展示した「生賴範義 拾遺集」にも、興味深い作品が多々ありました。
1969年の『週刊少年マガジン』に掲載された「完全映画 かわったスクリーン」は、いわば未来の立体映画の想像図。今の目で見るとちょっとアナログな感じもいたしますが、なかなか面白いイラストでした。
そして、1983年のお正月に西日本新聞に掲載された「置県100年新たな出発 未来への胎動」は、宮崎県のさまざまな産業や交通を一枚にびっしりと書き込んだもの。生賴さんが宮崎を題材にした作品を目にするのは初めてでしたので、これはちょっとしたお宝でした。

今回の「生賴範義展III」を観覧して、映画はもちろん出版の分野においても、生賴さんが巨大な足跡と功績を遺されたということを、あらためて認識することができました。
そして、そんな偉大な方が、この宮崎市という場所を創作の場として選んでくださったということにも、感慨深いものがあります。
生賴さん、本当にありがとうございました。

「生賴範義展III」は来月15日まで開催されます。どうぞ、お見逃しのないよう!わたしも会期中にもう一度足を運んで、またじっくり鑑賞したいと思っております。


*写真はいずれも、撮影可のスペースにて撮ったものです。

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