短い言葉に込められた、人生をより良く生きるための知恵の数々『ふりまわされない。』

2017年04月07日

またも長いこと、ご無沙汰してしまっておりました。スタッフ押川であります。
ここしばらく、新年度用の教科書類に関わるお仕事などで大忙しだった当店ですが、どうにかこうにか腰を痛めることなく乗り切れましたし(笑)、ちょっとだけ時間的な余裕も出てきましたので、開店休業状態だったこのブログを再起動したいと思います。
どうかこれからも、お付き合いいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

さて。『子連れ狼』をはじめとする多数の漫画原作を手がけておられる小池一夫さんのアカウント( @koikekazuo )を、わたしはTwitterを開始して間もない頃からずっとフォローさせていただいております。ほぼ毎日のように発信されている小池さんのツイートには、日々を生きる上で助けとなってくれそうな言葉が数多くあって、わたしもそれらの言葉には大いに励まされるとともに、自分を見直すための糧ともなっております。
小池さんがこれまでTwitterで発信したツイートから300の言葉を選び、テーマごとに編集して一冊にまとめたのが、この『ふりまわされない。 小池一夫の心をラクにする100の言葉』(ポプラ社)です。

人間関係からくる悩みや疲れ、気持ちをかき乱す負の感情、意欲の低下・・・などなど、生きていく中で生じるさまざまな問題について、率直かつ平易な言葉で語りかけたツイートの数々。Twitterで見そびれていたお言葉はもちろん、すでにTwitterで目にしたお言葉もじっくりと読み直すことができ、胸に響くものが多くありました。

わたしにとって、とりわけ胸に響いてきたのが、「感情」との向き合い方について語ったツイートでした。もともと感情に振り回されるタチだったことに加え、加齢のためなのか(苦笑)いささか猜疑心らしきものが強くなってもいる最近のわたしにとって、感情のコントロールがうまくできないことは少なからず悩ましいことでもあります。
そんなわたしに沁みてきたのが、こんな言葉でした。

「イライラしたり、気持ちが荒ンでしまったときの僕の対処法がある。
負の感情に行動が引きずられるのではなく、その順序を逆にするのだ。
まず、なるべく心が楽しくなるような行動を起こして、感情を楽しいほうにひきずっていく。
これは、とても効果的です。」
(註)小池さんのツイートでは「ん」を「ン」と表記します。

ついつい、「負の感情」に引きずられて切り替えができないでいることの多いわたしにとって、この言葉は大いに参考になるように思えました。やっぱり、楽しく生きようという気持ちと工夫が、感情を良いほうに持っていけるんだよなあ。

TwitterなどのSNSなどでことさら、異なる意見や考え方を持つ人を否定したり攻撃したりする向きをよく見かけますが、これについても実に頷けるお言葉が。

「他人を見下したり、攻撃的なツイートする人ってどういう人なンだろうと思って覗いてみると、共通点がある。
『自分の世界が狭い』
自分の狭い世界での意見なので、自分と同じ意見でなくては気に入らない→意見の違う人は攻撃対象だとみなす→礼節を持たない→人に相手にされず、より世界が狭くなる、という悪循環。」

狭い世界に引きこもるばかりの悪循環に陥らずに、自分の世界と思考を拡げていくことで、充実した面白い人生を過ごしたいものだなあ、としみじみ思います。

そして、何かと「生きづらさ」を感じたり、苦しみや絶望にさいなまれている人たちにも、小池さんは気持ちに沁みるようなメッセージを発しておられます。

「五年前の僕の悩みは、ほとンど解決している。
三年前の苦しみは、割といいほうに向かっている。
一年前の大変なことも、どうにかなっている。
絶望は、時間の流れでどうにかなる。
『今』の絶望は、未来では絶望でなくなっていることも多い。
だから、とにかく『今』を乗り切るのだ。」

ついつい過去を振り返ってため息をついたり、いたずらに未来への不安にとりつかれるのではなく、目の前にある「今」をしっかりと生きることの大切さを、この言葉は教えてくれました。

小池さんの発するお言葉には、成功した人間が大所高所からのたまう話にありがちな、ある種の臭みや嫌ったらしさがありません。その語り口は実にストレートかつ等身大で、読み手が誰であっても気持ちにスーッと沁み込むものがあるのではないでしょうか。
新しい物事を自分の中に取り入れ、どんな世代にも伝わるように語りかけようという精神の若々しさと、80年の体験と実感に裏打ちされた、人生をより良く生きるための知恵。それらが渾然一体となっているからこそ、小池さんのお言葉は数多くの方々の胸に届いているのでしょう。

新年度。新しい環境や人間関係に戸惑い、悩むことも少なからずあるのではないかと思います。そういった戸惑いや悩みを抱える方々にも、本書は多くの知恵を与えてくれることでしょう。

岩切書店(宮崎こどものとも社)

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大いに呑んで熊本支援を!『古典酒場 特別編集 熊本 酒援酒場 VOL.1』

2016年12月09日

こんにちは。スタッフ押川であります。

2007年に創刊し、古き良き雰囲気を保ち続ける酒場と、美味しい酒と肴、そして酒場に集う人びとが紡ぐ縁を伝えてきたムック『古典酒場』。
酒場ブームを後押しする存在として多くの酒場ファンに愛されながらも、2013年にひとまず休刊となっていた『古典酒場』が、このたび税込定価500円のワンコインで買える特別編という形で帰ってきました。それが『古典酒場 特別編集 熊本 酒援酒場 VOL.1』(発行=クラシマ・プロダクツ、発売=三栄書房)であります。

テーマは「熊本の酒と酒場」。4月に起こった熊本地震から立ち上がろうとしている熊本を、呑むことで支援しようではないか、という思いのもとで企画されたものです。

前半のメインとなる特集は、熊本県内にある9ヶ所の日本酒蔵の探訪特集。球磨焼酎で名高い熊本ですが、実はさまざまな銘酒を生み出している日本酒どころでもあるのです。その上、いずれの蔵元も江戸から昭和初期にかけて創業した歴史あるところばかりです。

その中の一つである、熊本を代表する日本酒ブランド「美少年」。2008年の事故米をめぐる一連の騒動によりイメージダウンを蒙り、蔵主や蔵人も変わった「美少年」が再出発の場所に選んだのが、菊池市にある小学校だった校舎の建物でした。廊下に沿って一直線に並んだ室の配置が、酒造りのラインにもぴったり合うのだとか。
かつて世間を騒がせた「美少年」ブランドを敢えて復活させた理由を語った、製造責任者のことばが実に印象的でした。

「海外のお客様たちにも愛されていたブランドです。なのに、一度ダメになったからそれで全部ダメという現在の風潮は違うんじゃないかと思うんです。苦しい努力をしながら再生をしていく。その姿を、かつてのファンの方々に見ていただくことに意味があるんじゃないかと」

その「美少年」も、震災により仕込み用のタンクが全て倒壊するというダメージを受けました。しかし、そのような中で来季に向けての酒造りに意欲を燃やしているという姿勢は、震災をはじめとするさまざまな困難から立ち上がり、復興と再生に向かおうとしている熊本全体の象徴のようにも思えました。

その他8ヶ所の蔵元の蔵人さんたちのお言葉にも、震災によって大なり小なり影響を受けながらも、しっかりと美味い酒を醸し、人びとに呑んでもらおうという気概が溢れていて、読んでいて胸の熱くなる思いがいたしました。

本誌には、それぞれの蔵元がオススメする地元酒場の紹介や、熊本市内の繁華街にある美味しいお酒が呑める酒場、地元のお酒の魅力を伝える酒屋さんを紹介するページもあって、熊本呑み歩きの強〜い味方になってくれそうであります。

後半のメインとなるのが、熊本城と熊本駅のあいだに広がる城下町エリア「古町」のミニ特集です。
昔をしのぶ古く趣きある建物がそこかしこに残る古町。そんな古い建物の多くが、震災によりダメージを受けました。
それでも、貴重な町並みを残す形での復興を遂げたいという想いから、地元有志による「まち案内」が5月には再開したのだとか。ミニ特集では、ご当地で長きにわたって営業を続けておられる老舗のお店も紹介されています。これもまた、古町散策の参考になりそうですね。

この『熊本 酒援酒場』には、熊本の蔵人さんたちと酒米を育む農家さん、そして呑み手とが紡ぐ「酒縁」がたっぷりと盛り込まれています。さらには、熊本と他の九州各県、そして東北とで紡がれた「酒縁」をも。
これらの「酒縁」が「酒援」となってさらに広がっていって、熊本の復興と再生を後押しする力になっていくことを、願ってやみません。そしてわたしも微力ながら、その「酒縁」と「酒援」に繋がっていきたいと思っております。
VOL.2の刊行も、大いに楽しみであります。

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自然保護のあり方をとことん問い直す『外来種は本当に悪者か?』

2016年11月21日

こんにちは。スタッフ押川であります。

本を読むことの楽しみの一つは、これまで自分が抱いていた思い込みや、信じて疑わなかった「当たり前」「常識」が揺さぶられ、新しい視野とものの見方が拡がっていくことではないか、と思います。
今回ご紹介する『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』(フレッド・ピアス著、藤井留美訳、岸由二解説、草思社)は、最近読んだものの中でもっとも、わたしの抱いていた思い込みや「常識」を揺さぶってくれたスグレモノの一冊であります。

「外来種」というコトバはたいてい、あまり良い文脈で用いられることがありません。外から侵入してきて、平穏に暮らしている在来の動植物を脅かし、ひいてはその生態系をも破壊してしまう、おそるべき「エイリアン」的な存在・・・。「外来種」とされる動植物にはおおかた、そんなマイナスのレッテルが貼られ、忌むべき存在として駆除の対象になったりしています。

本書は、とかく「善玉・悪玉」という単純な二元論で捉えられがちな外来種と在来種の関係性を再考し、実は外来種が自然の復元力に大いに寄与しているのだ、ということを、世界各地の実例を多数挙げながら解き明かしていきます。

植物のほぼ全てが、世界各地から持ち込まれた外来種で占められていながら、多様性の豊かな生態系が完璧に機能しているという南大西洋の孤島・アセンション島。ヴィクトリア湖におけるホテイアオイやナイルパーチ、黒海におけるクラゲの大繁殖の背景。原発事故により人間がいなくなったあと、野生生物の宝庫となっているチェルノブイリ・・・。

本書に多数挙げられている事例の数々からは、善悪二元論に立脚した「外来種」「在来種」といった区別が、結局は人間中心の都合と理屈でしかない、ということが実によくわかります。
そして、自然は傷つけられたり変容を余儀なくされたとしても、変化を繰り返しながら再生し、復活していく、たくましくてしたたかな存在であることを知ることができ、読んでいて嬉しくなるような希望を感じました。

これまでの自然保護にあった思い込みをとことん問い直し、自然と人間との共存のあり方を再考する本書は、実に有益な刺激を与えてくれました。
多くの方に読まれることを願いたい一冊であります。

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「子どもも大人も元気になる保育」

2016年10月14日

今月発売されました、オススメの保育書をご紹介いたします!

kodomomo-otonamo.jpgひとなる書房

定価:本体1600円

萩原光/渡辺久美子 著

千葉県富津市の現役保育士である渡辺先生がご自身の経験を基にとても具体的なエピソードを交えながら子どもとの関わりについて書かれています。

日々一生懸命がんばっている保育士の先生方へのエールでもあると読んでいて感じました。また、保育を楽しみましょう!子育てを楽しみましょう!という前向きな姿勢が、読んでいて「保育っていいなー」と思えてきます。

実は渡辺先生は私が千葉県で働いていたとき大変お世話になった方です。

千葉を離れてもう10年以上たちますが、今でも私を応援してくれるとても素敵な先生です!

その人柄も感じられるとてもいい本ですので是非手にとっていただきたいです。

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熊本市動植物園の動物たちとつながるための一冊『素顔の動物園』

2016年10月11日

こんにちは、スタッフ押川であります。

先月(9月)の連休に熊本に出かけ、そのおりに中心街の書店めぐりをやったことは、わたしが前回綴った記事でも触れましたが、そのときに立ち寄った、明治時代創業の老舗「長崎書店」(店内には村上春樹さん直筆の色紙もございました)で見つけて購入したのが、この『素顔の動物園』(熊本日日新聞社)であります。熊本市動植物園で飼育されている102種の動物たちを、カラー写真と短い文章で紹介した写真集です。

紹介されている102種の動物たちの多彩さに、まず惹かれます。チンパンジーやライオン、クジャクなどの、動物園ではお馴染みの顔ぶれはもちろんのこと、国内で飼育されているのはここだけという中国の珍種ザル・キンシコウや、熊本生まれの地鶏「肥後五鶏」といったものも飼育されていたりします(ニワトリの展示は全国の動物園でも異例なのだとか)。
ちなみに、わたしも熊本の居酒屋で食してその濃厚でコクのある味わいに惚れ込んだ、肥後五鶏の一つ「天草大王」は、名前にふさわしいような威厳あるツラ構えが、またいい感じでありました。

動物たちの種類の多彩さも魅力なのですが、本書は収録されている写真一枚一枚が実に素晴らしいのです。
取材を担当した写真部記者氏が「図鑑のような写真じゃダメ。喜怒哀楽が伝わる1枚にとことんこだわりたい」と、動植物園に通い続けて撮った中から選び抜かれたという写真の質は高く、写真集としても十分に楽しめる一冊となっております。

中でも圧巻なのが、超望遠レンズで撮影された動物たちの顔のどアップ写真。見開き2ページにわたってどどーんと掲載されているアムールトラや、ワニの一種メガネカイマンの鋭い眼光には、思わず「うっ」と言いつつたじろいでしまうような迫力がありました。一方で、派手な原色で彩られた顔が特徴的な霊長類の一種・マンドリルの顔のアップは、ケバケバしい顔の奥にある優しい瞳が、まことに印象的です。

マダガスカル島に生息している絶滅危惧種・エリマキキツネザルの父娘の写真は、父親が娘にお説教しているような構図がすごく面白いですし(とりわけ、いかにも済まなそうな娘ザルの表情には萌えそうになります)、中国原産で野生では絶滅したという珍獣・シフゾウの写真は、「ひづめは牛、頭は馬、尾はロバ、角はシカ」という4つの特徴がすべてわかるポーズを決めた瞬間をバッチリ捉えていて、これもお見事でありました。
それぞれの動物たちを紹介した文章には、担当する飼育員さんたちのコメントも織り込まれていて、そこから窺える動物たちの「素顔」も、なかなか面白いものがありました。

多彩で個性豊かな熊本市動植物園の動物たちですが、現在熊本の皆さんは、これらの動物たちに会うことができません。
4月の熊本地震により、「再開まで1年以上かかる」といわれるような大きな被害を受けてしまった熊本市動植物園は、目下長期の休園を余儀なくされているのです。本書の末尾には、園内の通路がひび割れていたり、ミニSLなどが倒壊したり、液状化した泥で覆われたりしている園内のようすも伝えられております。幸いなことに、動物たちはすべて無事だったそうですが、ライオンやトラなどは県外に緊急避難したのだとか。

本書『素顔の動物園』の売上の一部は、熊本市動植物園復旧に向けた救援金に充てられるとのことです。もちろん、注文すれば宮崎でも購入は可能であります。
本書の存在が1人でも多くの方に知れ渡り、熊本市動植物園が一日も早く地震前の姿を取り戻して再開するための後押しになることを願いたいと思います。

ただいまブログのテスト中です。

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